2015年2月4日水曜日
2015年2月3日火曜日
マイクロファクトリー:製造業へのインターネット適用は第三の産業革命を起こす
編集部: John B. Rogersはマイクロファクトリー方式で自動車を3Dプリントして製造販売するLocal Motorsの共同ファウンダー、CEO。同社はアリゾナ州チャンドラー、テネシー州 ノックスビル、ネバダ州ラスベガスに所在する。
アメリカの製造業に新たな未来を開く動きが始まっている。
MakerBot、TechShop、Kickstarterのようや会社は、伝統的な産業化による製造業と雇用のモデルと、現在広まりつつあるフラットでネットワーク化した世界における製造と雇用モデルとの乖離を埋めるための重要な架け橋の役割を果たそうとしている。
先進国における製造業の未来を考えるにはその財務、資金調達と実際の製造プロセス、双方の新たなモデルを必要とする。その一つがマイクロファクトリーだ。
われわれの会社、Local Motorsでは、「ローカル企業がビッグになるにはそのローカルをビッグにしなければならない」と言い習わしている。世界でもっとも人口密度が高く、購買力も高い地域で大型のハードウェア製造(家電製品や自動車など)を開始すれば、意味のあるレベルの雇用を提供すると同時に、そのコミュニティーのニーズに迅速に反応しつつ、プロダクトの開発速度を大幅にアップできる。
私は中国で3年過ごし、Foxconnが作り上げた巨大工場について詳しくまなんだ。それ自体が都市であるFoxconn工場では靴箱に入る程度の大きさのものであれば、文字通りありとあらゆる電子製品を製造することができる。製造、保管、出荷のプロセスすべてが簡単だ。しかし、靴箱サイズよりずっと大きいプロダクトを大量生産しようとすると、Foxconnのような便利な施設は少ない。ましてそれに必要な資金を得るチャンネルはほとんどないといってよい。製造に必要なツールも部品も高価であり、流通も難しい。すべてが高いコストがかかり、一つのjミスが命取りとなりかねない。
しかし未来に向けて明るい展望も存在する。われわれは「第三の産業革命」ともいうべき新たなエコシステムの確立に向けて起業家の努力が実を結び始めている.
歴史を振り返る
ジェニー紡績機が蒸気機関と結びついて最初の産業革命が始まった。ジェームズ・ハーグリーブズが紡績機械を発明しなかったら衣類の大量生産は不可能だった。20世紀に入るとヘンリー・フォードが流れ作業による製造ラインを備えた巨大工場を完成させ、複雑な機械の大量生産に道を開いた。.蒸気機関はやがて石油を燃料とする内燃機関に置換えられた。この第二の産業革命はトヨタ自動車のカイゼン・プロセス、つまり組織的かつ絶え間ない品質改善の努力によって完成の域に達した。そしてリーン・マニュファクチャーやシックス・シグマなどの高度な品質管理手法を産みだしている。
われわれが第三の産業革命と呼ぶのは、最近登場し始めた「インターネットを適用されたプロダクト」を指している(いささか使い古された感のある「モノのインターネット」より広い概念だ)。ここで「インターネットの適用」と呼ぶのは、「リアルタイムでの情報へのアクセス」、「産業用製造ツールの低価格化」、「有効な法的保護の提供」の3つの側面を意味している。
ローカルの起業家がグルーバルな巨大企業と同じ土俵で戦えるフラットで分散的な経済が第三の産業革命の特長だ。これを可能にするのは、伝統、慣例にとらわれない柔軟な発想と、そうしたイディアを即時に世界的に共有できるプラットフォームの存在だ。
即時かつ広汎な情報へのアクセス
たとえば私がMakerbotのクラウドソース・ライブラリ、ThingiverseからドアのグロメットのSTLファイルをダウンロードすれば、数時間後には3Dプリンターからその実物が出力され、われわれの自動車のドアに組み付けることができる。われわれのコミュニティーでは常に誰かが新しいアイディアを出して、それが共有されている。GE AppliancesはFirstBuildというマイクロファクトリーを建設した。目的は世界中の才能ある人々のアイディアに対して開かれたハードウェア工場だ。
製造ツールの低価格化
マイクロファクトリー方式のメーカーは高価な産業用ツールを低コストで利用できるようになった。TechShopなどを通じて強力なコンピュータ・パワーと産業用3D プリンターを時間借りできる。Cathedral Leasingなどを通じてリースも可能だ。
またアメリカ・エネルギー省のオークリッジ国立研究所ではORNL Manufacturing Demonstration Facilityという野心的プロジェクトで、研究者と民間企業が共同してスーパーコンピュータにアクセスし、最先端の製造でくのロジーを開発、実証する試みが進んでいる。
製造プロセスのクラウドソース化、資金調達のクラウドファンディング化によって、ハードウェア、ソフトウェアを問わず、製造業にに必要な当初資金は大幅に低下しつつある。
有効な法的保護
現在、アメリカではユーザーが生んだ知的所有権に対するさまざまな保護と調整の仕組みが整備されている。Creative Commons、MIT、GNU のようなオープンソース・ライセンスはマイクロ・ファクトリーが安心して広汎な既存の知的財産を利用し、改良してさらに共有する道を開いた。
マイクロファクトリー
マイクロファクトリーは、その小さいサイズ、高いアクセス性、必要な資金の少なさという重要な意義を備えている。
靴箱より大きいハードウェアをマイクロファクトリー方式で製造するなら、その成功の可能性は高い。なぜならデザインのクラウドソースと3Dプリンターを駆使するマイクロファクトリーはアイディアを形にするスピードが伝統的メーカーより格段に速いからだ。
クラウドソースは、即座に世界中の能力ある人々の知恵を借りることを可能にする。クラウドソーシングを理由すればエンジニアリング上のどんな難問でもきわめて短時間で解決可能だ。3Dプリンターは製造過程を高速化するだけでなく素材の利用効率が高く、結果的に無駄を出さない。これよって製造に必要なスペース、原材料が大幅に削減され、事業立ち上げのための資金も少なくてすむ。
マイクロファクトリーは伝統的製造業に比べて効率的なので環境負荷も低く抑えられる。消費地に接近しているため輸送、流通のコストも小さく、消費者の反応を即座に感じとって製品改良に活かすことができる。.
[原文へ]
(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)
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2015年2月2日月曜日
忘年会でバカ受け"空間写真"、Fyuseは動画ともパノラマとも違う第三の画像技術
以下の画像はぼくが去年末、忘年会の席上で撮って同僚に見せて「なにこれっ! 面白い!」とオオウケしたマグロのカマの写真だ。リンク先へ飛んで、できればスマホのブラウザで表示して端末を左右に傾けて見てみてほしい。そこにカマが存在するかのように、手の中で3次元ぽい物体が転がっているように見えるはずだ。PCのブラウザならマウスでドラッグすれば動く。ネイティブアプリをダウンロードすれば、高精細な3次元ぽい映像として再現できる。
これは、スマホで「空間写真」を撮影できるとするアプリ、「Fyuse」(フューズ)で撮影したものだ。撮影する対象物に対してデバイスをぐるっと巡らせると、まるでスマホの中に3D空間を閉じ込めたような写真が撮影、再生できる。
以下がFyuseの公式紹介デモ動画だ。
動画の順再生と逆再生をしてるだけか?
この映像を友人らに見せたところ反応は2つに分かれた。これはスゴいね、面白いねというものと、これは3Dとかとは関係がなく、単にキャプチャしたフレームをパラパラと再生しているだけではないかという冷めた反応だ。前者は非テック系のスマホ利用者。後者はメディア関係者やエンジニアで、疑り深い人たちだ。
ぼく自身は、使ってみてすぐにFyuseはタダモノではないと思った。いろんなアングルや撮影方法を試すと、単純なコマ再生・逆再生とは違うことは分かるし、周囲に見せたときのウケがとにかくいい。これはスゴいアプリだと思った。ただ、信用している人たちに「見せ方がうまいだけで、そこには何の新規性も技術もないんじゃないの?」と言われて、そういえばそうなのだろうかと思ったのも事実だ。
「新しい技術が登場するときには、ともかく否定してかかる人たちというのは必ずいるものです」
Fyuseを開発したサンフランシスコ拠点のスタートアップ企業、Fyusionの共同創業者でCEOのラドゥー・B・ルス(Radu B. Rusu)にSkypeで質問を投げてみたところ、こんな答えが返ってきた。Fyuseはスローモーション動画とかパノラマ写真に似ているものの、実は全く別の画像処理技術をベースにしているという。
複数センサー利用で空間を再現
Fyuseは具体的に何をしているのだろうか?
「Fyuseを開始すると、加速度センサーの情報も加味し、カメラでとらえた映像の解析を始めます。ただし、デバイスが静止している限りは映像はキャプチャしません。ユーザーがデバイスを動かし始めたら映像をキャプチャします。静止しているときにキャプチャしないのは、Fyuseは空間を捉えるので時間の経過はどうでもいいからです」
「Fyuseでは常にカメラの位置を推定しています。これはジャイロだけではできません。ジャイロでは相対的な向きの変化だけしか分かりませんから、ビデオフレームの解析と写真測量法と呼ばれているものを組み合わせています」
受光素子も含めて複数のセンサー情報を総合的に解析する「センサーフュージョン」と呼ばれるアプローチのようだ。こうしてデバイスの空間内での絶対位置を推定して、以下の図のように空間上の一定間隔ごとに捉えた「ノード」上からの「ビジュアル・グラフ」を構成するのだという。ノード間は差分としてデータ化してあって、これによりノード間はほとんど無限の粒度でスムーズに補完が可能なのだそうだ。
Fyuseの画像を見ると、動画やパノラマ写真に似て見える。しかし、高画素の動画であれば、100MBとか200MBのデータ量になり、スマホでの閲覧に適さなくなるはずだ。Fyuseのデータは1〜2MB程度だから3Gのスマホでも少し待てば再生できる。現在はEC向けの応用のために500KBまで減らすブラウザ向けビューワーも開発しているという。Fyuseの画像データは、それそのものでは、JPEGのような2次元とも、MPEGのような動画とも違っていて、2次元の画像とカメラ位置のノード情報を持っているそうだ。これまでオープンソースの画像処理ライブラリを作ってきたラドゥーらしく、Fyusionではこのフォーマットの標準化のためにISOに働きかけを始めているという。
Fyuseの画像をスワイプしてみると分かるが、背景画像がスムーズにパンしている中で、前景の人物が歩いていたりする。Fyuseでは被写体の中の対象物を点群として認識するものの、実用面での理由から実装上は現在2つのレイヤーで2次元映像を再構成しているという。レイヤー数自体は任意に増やすことができるものの、これで十分だとか。パノラマ写真、特にセルフィーで風景を広く収めて撮影するようなときに、これは有利。セルフィーという応用分野は開発初期には想定していなかったそうだけれども。一般にパノラマ写真では継ぎ目の問題があるために、「腕が5本あるようなゴーストが現れたりするが、Fyuseでは前景の人物も自然に動く」とラドゥーは指摘する。確かにスローモーションで雪が降る中、人々がゆっくり歩くという見たことのない映像を見ることができる。
Fyuseのような技術が可能となったのは、デバイスの急速な進化が背景にある。「最低でも2コアと、そこそこのGPUが必須です。iPhone 4以上のスペックが必要で、撮影後の事後処理はiPhone 4Sで5秒以上、iPhone 5で3秒、iPhone 6で1秒程度です。iPhone 7だと全部リアルタイム処理可能になると見ています」
3次元グラフィクスの専門家として、誰にでも使えるものを作りたかった
ラドゥーは、画像処理をかじったことのあるエンジニアなら誰でも知ってるだろうオープンソースのライブラリ「OpenCV」の開発メンバーの1人で、かつ同様のオープンソースの3次元点群ライブラリ「PCL」(Point Cloud Library)の設立者でもある。3次元グラフィクス分野で10年の経験があるという。
それまでOpen PerceptionというNPOで働いていたり、ロボティクス関連のWillow Garageでリサーチサイエンティストという立場で活動してきたラドゥーがFyusionというスタートアップ企業を創設した理由は、これまでに研究してきたテクノロジーを使って、一般ユーザーに使えるものを作るためだという。
「3D画像というのは技術者にとっては点群やメッシュ、八分木のことだったりします。でも、コンシューマーにとっては3Dといえばマトリックスの世界なんですよ」
2013年の創業当初は、ちょうど3Dプリンタブームが起こりつつあったときなので、カメラとKinnectを使ってトライアングメッシュによる3Dモデルを作るテクノロジーを作っていたという。ただ、これは結局あまり利用者がいないことが分かって6カ月で方針転換。
「2013年にスマホの利用時間がPCを上回ったのです。それで、全てのスマホで使える何かが作れないだろうかと考えたんです。つまり単眼のカメラを使った応用です。3Dプリンタにしか役立たないものじゃなくて、もっと没入感があって、美しい何かです」
「われわれの周囲のもの、例えば太陽や空、波のような透明なものは3Dの数学的モデルでは表現できません。ハイブリッドを作る必要があったのです」
「2つのメジャーな映像記録の方法を振り返ってみましょう。2Dのスチル写真と動画です。この2つはコンピューター登場以前からありました。とても長く存在しているので、もはやわれわれのDNAの一部のようになっています。だから、これら以外の方法があると想像もせずに使い続けているだけなのです」
「例えば写真。100年ぐらい前に2次元の映像を捉えるのに成功した人がいました。スチルカメラの誕生です。その後、コンピューターが登場して、それでデジタル化して、われわれはJPEGを作りました。もう1つは映像。これも36mmフィルムができて、それをデジタル化してMPEGやH.264を作りました」
「時間と空間をスライスして画像を捉えるのが写真です。一方、ビデオは時間をキャプチャするものです。30フレームとか60フレームとかですね。しかし、空間を捉える方法がなかったのです。Fyuseは空間を捉えるものなのです」
北米の写真・動画カテゴリで第4位に
色々と撮影してみると分かるが、単純な子どもだましのアプリではない。一方で、冒頭に冷めた指摘を紹介したとおり、単に傾きを検知して動画の順再生と逆再生をやっているだけに見えなくもない。いくら高度な画像処理技術を使っていたところで、ユーザーに受け入れられないなら意味がない。
AppAnnieでランキングを見てみたところ、北米のApp Storeの写真・動画カテゴリで1月18日にはVineを抑えて、Instagram、YouTube、Snapchatに続く第4位を獲得。順調にソーシャルネット上で利用が伸びているようだ。Fyuseは2014年12月にiOSとAndroid向けにバージョン2.0がリリースされている。
ソーシャルに体験をシェアするという意味では、Facebookなどと相性が良さそうで、いかにもFyuseは買収対象となりそうなアプリに思える。あるいは、ネイティブ実装のほうが再生環境としては好ましいことから、iPhoneのようなデバイスに統合されることがベストなのではないか。この点についてラドゥーに尋ねてみたところ、「これまでの買収の提案は断っています。われわれは、どこかのSNSに売って消えたいとは思っていません。これまでOpenCVやPCLでもそうでしたが、われわれは長期に考えてプラットフォームを作ってます。Androidデバイスの製造メーカーとの話も始めています。Fyuseというアプリはテクノロジーのショーケースとして作りました。ソーシャルに使えるアプリにすれば、人々がこの技術を気に入るか気に入らないかはすぐに分かりますからね」
Fyusionは2013年設立。日本のUTEC(東京大学エッジキャピタル)、米国VCのNew Enterprise Associatesほか個人のエンジェル投資家から2014年5月にシリーズAとして355万ドルの投資を受けている。個人投資家の中には、サン・マイクロシステムズ社の共同創業者で、創業前のGoogleに10万ドルのチェックを切ったことで有名なアンディ・ベクトルシャイム氏も名を連ねていることを付け加えておこう。
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